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君が見た世界

もう、それは、何回も。

終了に向けて。
湊の未来に繋がる話でもあるので、少々暗くはありますがそっと投下。


もう、それは、何回も。

数えるのが面倒になるほど、足を運んだ。
何度も何度も、白い蓮の花を手に持って。

けれどその花は、いつも本来置かれる場所に置けなかった。
…置ける訳がなかった。
正面に立つことさえできなくて、何度も裏側で座り込んだ。
彼の愛情を認めたら、途端に自分が凄く醜くて汚らわしくて卑怯なものに変わって。
それでもそれが自分への罰であるかのように足を運んだ。

嗚呼、自分は、この花を持つ資格もない。そんな気さえした。


透き通った瞳に白い花を写して、湊は小さく目を閉じた。
再びうっすらと目を明けた先。
白い花が揺れているのは、それが本来置かれる場所。
黒い石碑の前の花立だった。

(…兄上、)


兄上は今の俺を、憎んでいるでしょうか。
努力がなければ成し得なかった事を、すべて才能だと決め付けて
あなたの優しさを木っ端微塵に踏みにじっていた俺を。

俺は貴方より長く、生きてしまっています。…もうすぐ、21になります。
やっぱり俺も、母上が言っていた事は正しかったのだろうと思います。

俺じゃなくて、きっと。貴方が生きるべきだった。

…兄上、ずっと、ずっと俺を呪っていてください。祟って下さい。
そうとわかっていても、死ねずに…死なずに生きる俺を。
どうか、許さないでください。

…どうか、 俺が貴方を、忘れないように。


ひたりと合わさったまま冷え切った両の掌が…小さく震えているのがわかった。
(…父上、俺はとても弱い、弱い人間になってしまいました。)
薄く目を開けても、それは自分の息か、雪の白さか、水か。ぼやけて、良く見えなかった。
生きていくには、あまりにも自分が犯した罪が重くて
けれどそれを受け止めずに逃げるのは、もうしてはいけない気がした。

それでも生きるのは、…もしかしたら自惚れているのかもしれないけれど
きっとこんな俺なのに、死ぬことを認めてくれない
優しい、大好きな仲間達がいるから。
死ぬのが怖いからじゃなく、ただ生きるためじゃなく。一つでも多く、報いるため。
いつか…彼が微笑みながら見た世界を、俺も同じ顔で見られるように。



(…兄上、父上、…母上。俺は忍者として弱い、弱い人間になってしまいました)

けれどそれと引き換えに、人として生きる意味を…もらった気がするのです。








兄の墓と、生きる意味

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